かにむかし 木下順二文 清水昆絵

かにむかし;日本むかしばなし
木下順二文 清水昆絵
岩波書店 1996(1959)
〔43〕p 21× 17cm(岩波の子
どもの本)
〔程度〕幼児
定価 本体583円(税別)

WS000460

浜辺で柿の種をひろったかには、丹精こめて立派な柿の木
に育てました。ところが、たわわに実った柿の実を猿に食べら
れ、あげくの果てに、自分が育てた柿の実をぶつけられて、殺
されてしまいます。しかし、死んだかにの甲羅から無数の子が
にがズクズクとはい出し、栗、蜂、牛のふん、そして、はぜ棒、
石臼たちと、猿のばんばに出かけ、見事に猿をやっつけたので
す。】
子どもの頃、よく聞かされたさるかに合戦も、原話のもつ独
特の雰囲気を生かした絵本として登場してくると、改めて新鮮
さを感じさせるのは、再話にあたり、昔ばなしの本質を正しく
把握しているからに他なりません。一粒の種を愛情こめて育て
あげるかにの姿には、額に汗し、黙々と働く農民の姿を想起し、
奸智にたけた猿の姿に、いつの世にも君臨する為政者の身勝手
さ、狡猾さを感ぜずにはいられません。
かにむかしは単なる仇討ち話ではなく、民衆の心の底に秘め
られた願望の所産なのです。木下方言とも言える独自の方言を
駆使した語り回は、毛筆の線を生かした清水寛一流の漫画風な
描写を得て、内容のみじめさを、むしろユーモラスに展開し、
民話のもつ楽天性につなげ、楽しさをかもし出しています。
小さな読者は、子がにと共に活躍する仲間に自分を重ね、劇
あそびなどにも発展させながら、猿を叩きのめす場面に拍手を
送るのです。数多いさるかにばなしの中でも、特に人気のある
ものです。

 
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